「最近、採用が以前より難しくなった」
そんな声を、業界を問わず聞くようになりました。2026年の採用市場で起きているのは、単純な「人手不足」だけではありません。今、特に採用が難しくなっているのは、DXやAI活用、事業変革などをリードできる人材です。
つまり、人材市場では「人が足りない」というより、「特定の専門人材に需要が集中している」ということです。そのため、給与だけでなく、採用のスピード、働く環境、スキルを伸ばせる機会などを含めた「会社としての魅力」が、これまで以上に問われるようになっています。
賃上げは、もはや「今だけ」のトレンドではない
ここ数年、日本企業の賃上げが続いています。2026年も大手企業を中心に高い水準の賃上げが続いており、転職市場の給与水準も上昇傾向にあります。
採用する側にとって難しいのは、「社内の給与水準」だけを基準に採用条件を決めることが難しくなっている点です。例えば、「社内の同じ役職が年収700万円だから、中途採用も700万円まで」という考え方だけでは、候補者が比較している他社のオファーに負けてしまう可能性があります。
もちろん、既存社員との公平性は大切です。一方で、人材市場の状況を考慮し、採用時の給与や評価制度を定期的に見直すことも必要になってきています。採用における競争力を維持するためには、「社内基準」と「市場価格」の両方を考慮することが欠かせません。
AI時代、高く評価される仕事も変わっている
AIは「人の仕事を奪う」というより、人に求められる仕事内容や必要スキルを変化させている。
もう一つの大きな変化が、生成AIの普及です。文章作成、資料作成、コーディング、データ整理など、これまで人間が時間をかけて行っていた仕事の一部を、AIがサポートできるようになりました。その結果、企業が人材に求める価値も変化しています。
これから特に重要になるのは、「AIを有効に活用する力」だけではありません。
今、何をするべきかを決める力。
複雑な状況の中で判断する力。
人を巻き込み、信頼関係をつくる力。
こうした、人間だからこそ発揮できる能力の価値が高まっています。
例えば営業であれば、単に提案資料を作る能力だけでなく、顧客の課題を見抜く力。エンジニアであれば、コードを書く能力だけでなく、AIを活用しながらプロダクト全体を設計する力。そしてマネージャーであれば、情報をまとめるだけでなく、チームの方向性を決め、人を動かす力がより重要になっています。
では、企業は何を変えるべきなのか
採用市場が変化する中、すべての企業が高額な報酬を提示できるわけではありません。
だからこそ、給与以外の部分も含めた採用基準が重要になっています。
特に見直したいのは、次の3つです。
- 選考スピードを上げる
- 給与・評価・働き方を可能な限り透明にする
- 採用だけではなく、現在の社員への投資も増やす
1. 選考スピードを上げる
優秀な候補者ほど、複数の企業から声がかかっています。応募や面談後の連絡が数日遅れるだけでも、その間に他社の選考が進んでしまいます。「良い人だったら、できるだけ早く連絡する」シンプルですが、今の市場では非常に重要です。
2. 給与・評価・働き方を可能な限り透明にする
候補者が知りたいのは給与額だけではありません。「入社後、どのように評価されるのか」「どのようなキャリアを描けるのか」「AIなどの最新のツールを使える環境なのか」こうした情報をオープンにすることで、候補者は入社後の姿をイメージしやすくなります。
3. 採用だけでなく、現在の社員への投資も増やす
必要なスキルを持つ人材を、すべて外部から採用するのは現実的ではありません。AIやデジタル、GXなどについて既存社員が学べる環境をつくることも、これからは重要な人材戦略です。採用と育成を別々に考えるのではなく、「社内外を含めて、必要な人材をどう増やすか」という視点が求められています。
まとめ
「人材を選ぶ会社」から「人材に選ばれる会社」へ
2026年の採用市場では、企業が候補者を選ぶだけではありません。候補者もまた、「この会社で働く価値はあるか」「成長できるか」「自分の市場価値を高められるか」という視点で企業を見ています。
給与、選考スピード、働く環境、AI活用、キャリアの透明性。その一つ一つが、企業の採用力につながります。人材を単なる「コスト」として見るのではなく、事業を成長させるための「資本」として考える。そんな会社ほど、これからの人材市場で選ばれやすくなっていくと考えられます。
採用市場が変われば、採用方法も変える必要があります。自社の給与水準や選考プロセス、求人内容が今の市場と合っているか。一度見直してみるだけでも、採用改善のヒントが見つかるかもしれません。